トップダウンの総量:E = E2025 · (Y/Y2025)ε。AIの計算資源とロボットはボトムアップで積み上げ、その他は残差とする。
AIの計算資源とロボットの1単位あたりのW。フロンティアはJones型で改善し、ストック平均は導入年次(ヴィンテージ)ごとの平均をとるため遅れて追随する。
| 原単位 | 2025 | rbase | λ | φ |
|---|---|---|---|---|
| W/H100e | ||||
| W/ロボット(HE) |
連続的な(安定化済みの)出力1Wあたりのオーバーナイト設備投資額。推移はJones型に従う。
| 種別 | 2025年ドル/W(供給ベース) | rbase | λ | φ |
|---|---|---|---|---|
| 化石燃料 | ||||
| 原子力 | ||||
| 水力 | ||||
| 太陽光 | ||||
| 風力 | ||||
| その他 |
供給1MWhあたりの運転費:燃料+O&M+廃止措置費。推移はJones型に従う。
| 種別 | 2025年ドル/MWh | rbase | λ | φ |
|---|---|---|---|---|
| 化石燃料 | ||||
| 原子力 | ||||
| 水力 | ||||
| 太陽光 | ||||
| 風力 | ||||
| その他 |
毎年、新規の設備容量をLCOEに対するソフトマックスで配分し、限界費用が市場価格を上回った発電所は退役する。
炭素クレジットはDACのコスト曲線に沿って価格付けする(現在のClimeworksの水準 → 2040年までに$30/tCO2)。
| 年 | DAC($/tCO2) |
|---|---|
| 2025 | |
| 2030 | |
| 2035 | |
| 2040 |
| 区分 | パラメータ | 米国 | 世界 | 確度 |
|---|---|---|---|---|
| 基準年のマクロ指標(2025年) | ||||
| GDP/産出 | Y₀ | $30.6T | $117T | 高 |
| 生産資本 | K₀ | $91.8T | $410T | 中 |
| K/Y比 | K₀/Y₀ | 3.0 | ~3.5 | 中 |
| 労働分配率 | 1-α-s_L | 58.3% | 52.3% | 中 |
| 労働力人口 | L₀ | 168.6M | 3.5B | 高 |
| 代替の弾力性 | ||||
| 認知対身体 | ε = 0.70 | 共通 | 低 | |
| 人間対AI | σ_c = 0.80 | 共通 | 低 | |
| 人間対ロボット | σ_p = 0.60 | 共通 | 低 | |
| 減価償却 | ||||
| 生産資本 | δ_K = 5% | 共通 | 高 | |
| AIの計算資源 | δ_C = 30% | 共通 | 中 | |
| ロボット資本 | δ_R = 10% | 共通 | 中 | |
| 区分 | β(所得) | ηD(需要) | ηS(供給) |
|---|---|---|---|
| 都市 | |||
| 農村 | |||
| 農地 |
| 資産 | p1 | p25 | p50 | p75 | p90 | p99 | p99.9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 賃金 | |||||||
| 資本 | |||||||
| AI | |||||||
| ロボット | |||||||
| 土地 |
| 種別 | p5 | p10 | p25 | p50 | p75 | p90 | p95 | p99 | p99.9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 賃金 | |||||||||
| 資本 | |||||||||
| AI | |||||||||
| ロボット | |||||||||
| 土地 |
税収のうち市民配当に充てる割合
市民配当は、世界全体のキャップ・アンド・トレード許可証収入のうち、各地域が条約上の配分として受け取る分(米国35%/中国20%/その他地域45% — assets/app.js の PERMIT_REVENUE_SPLIT)から支払われる。「国内」の行:その地域の許可証収入の取り分全体(AIとロボットの許可証の合計)のうち、国内の配当として支払う割合(既定は25%→75%→60%)。「対外援助」の行:米国と中国の取り分のうち、さらに対外援助として拠出する割合(既定は10%→10%→30%)。これはその他地域自身の国内分に上乗せして、その他地域の配当原資に入る(その他地域は対外援助を行わない)。各地域の国内分と対外分の合計は1以下にする。残りはその地域の政府が保持する。3つのアンカー(2032年、2035年、2040年)の間は線形補間し、範囲外では端の値に固定する。
| 配分 | 2032 | 2035 | 2040 |
|---|---|---|---|
| 国内(米国) | |||
| 国内(中国) | |||
| 国内(その他地域) | |||
| 対外援助(米国) | |||
| 対外援助(中国) |
各プリセットのもとでの実質産出と瞬間的な倍増時間を、同じ軸上に示す。デフォルト世界の線はシンギュラリティの打ち切り点(Yが1年で1000×を超えて増え、モデルの前提が成り立たなくなる点)で途切れる。プランAは2040年まで続く。
1単位あたりの生涯生産コスト。2つの指数の積によって、時間とともに低下する:製造(ライトの法則)×設計(Jones 1995)。
| AI | ロボット | |
|---|---|---|
| 基準コスト($/単位) | ||
| ライトのb(製造の習熟) | ||
| 設計の基準改良率(%/年) | ||
| λ(足の踏み合い) | ||
| φ(アイデアの枯渇) | ||
| λ/(1−φ) 桁/桁 | 2.0 | 3.0 |
ライトのb:累積生産量が倍増するごとに、コストがb%低下する。λ:研究者10× → 進歩は10λ倍速くなる。φ:低いほど、アイデアが速く見つけにくくなる。λ/(1−φ):研究者数が1桁増えるごとに進歩が何桁進むか(Bloom et al.:半導体では≈5)。
実効労働全体のうち、AIハードウェア設計とロボット設計の研究開発に振り向ける割合。Jones型のアイデア生産関数に入力される。
サプライチェーンの層ごとに、マークアップμを直接設定する。μ = 1.0 は競争的な価格設定(価格=コスト)を意味する。点をドラッグして調整する。
産出は4層のCESを入れ子にしている。最上位は資本と実効労働であり、実効労働は認知労働と身体労働に分かれ、それぞれがさらに自動化可能なタスクと自動化不可能なタスクに分かれる。そして自動化可能な区分の中では、人間と機械は完全代替である。各層の弾力性について と書く。
1. 産出 — 資本 と実効労働 から、全要素生産性(TFP) と資本のウェイト を用いて:
2. 実効労働 — 認知労働と身体労働を、ウェイト で集計する:
3. タスクの入れ子 — 各領域 について、自動化可能な割合 と自動化不可能な割合 を置く。タスク1つあたりで正規化しているので、ある要素を複数の区分に分けても不利にはならない:
4. 働き手の構成 — 自動化可能なタスクでは人間と機械の労働は完全代替であり、自動化不可能なタスクは人間だけが担う:
人間は、限界生産物がどこでも等しくなるまで各区分に配分される。これにより内生的な自動化割合 が決まる。機械が乏しいときは、人間が自動化可能なタスクを埋め合わせる()。機械のレンタル価格が自動化不可能なタスクの賃金を下回ると、人間はそこから離れ、 となる。
能力フロンティア。 は、機械が遂行できる(かつ遂行を認められている)タスクの外生的な割合であり、入力曲線として直接描いて与える。
機械の実効労働は、数量に1台あたりの人間換算の効率を掛けたものである:
数量 と効率 は投資・コスト低下のブロック(ライトの法則 Jones型のアイデア)で推移し、資本が蓄積される。プラン Aでは、キャップ・アンド・トレードの上限が の伸びを制限する。これらの式は — エネルギー、税、土地、所得分配の各ブロックとあわせて — 下のモデルの解説(完全版)で詳しく説明している。
このモデルは、大部分が外生的な(つまりユーザーが指定した入力によって動く)シナリオ駆動型の経済成長モデルであり、AIとロボットのハードウェア生産コストのモデルや、その他の経済的・社会的帰結のモデルといった拡張を加えている。モデルの中核は成長モデルである。そこでは、ユーザーが指定したAIとロボットの数量(配備されるコピー数)、効率(自動化されたタスクにおける人間換算)、能力(2024年時点で自動化されていないタスクのうち何%を自動化できるか)の推移が、人間の認知労働・身体労働と生産関数を通じて組み合わさり、経済的な産出を生み出す。
このような形で経済をモデル化することには、いくつかの限界や問題がある。成長モデルに本来つきまとうものもあれば、主著者が経済学の専門家ではないことを踏まえると、おそらくここで選んだ具体的な手法に由来するものもあるだろう。それでも私たちは、シナリオ予測の一部に彩りを添え、よい基準線となるような探索ツールとして、これを有用だと考えている。ここに示す数値が正しいとは考えていないが、プリセットではモデルが妥当な振る舞いをすると考えている。モデルの実装とウェブサイトの制作にはClaude Codeを用いたため、特に独自のシナリオを探索する場合には、バグや問題が含まれている可能性が十分にある。
全体として、経済の観点から見た未来についての私たちの見方は、このモデルを含むいかなるモデルよりも、AI能力の向上と普及をめぐるより上位の見解や議論に大きく基づいている。
謝辞:Tom Houlden、Tom Cunningham。
3つの地域(米国、中国、世界)はそれぞれ独立に較正する。 補助として、コストと余剰のモデル(ライトの法則とJones型の設計改良、マークアップ、キャップ・アンド・トレード)とさまざまな拡張(所得分配、部門別価格、土地、内生的な労働供給)が、さらなるシナリオ探索を可能にする。
| AI 2040 プランAシナリオ | AI 2040 デフォルト世界 |
|---|---|
|
米国とその同盟国が協調し、2030年ごろから始まる国際規制を通じてAIへの移行を管理する世界。主な特徴は次のとおり。
これは予測ではない。減速のための強力な国際協調があるシナリオである。 |
減速のためのガバナンスがない世界。研究開発ペースの段階的な調整も、AIやロボットの生産に対するキャップ・アンド・トレード規制もない。AIとロボットの数量はモデルによって内生的に決まる。主な特徴は次のとおり。
こちらのほうが、プランAのガバナンス介入がない場合にAI 2040の世界で私たちが想定する標準的な能力の進展について、経済的な帰結として私たちが予測するものに近い。 |
1 これは、効率は劣るものの、より安全で人間が解釈・検査できる方向性を追求することも反映しうる。たとえば、自己複製型やマイクロスケールのロボットではなく、従来型のマクロスケールのロボット設計などである。
2 体制そのものにとって最も顕著な例は、体制下で研究開発に従事するAI研究者(たとえば、おそらく主にアラインメントと制御の技術に取り組む者)と、検証体制のための監査官・査察官である。これらはAIに「引き渡す」こともできる(AIにはこれらのタスクをこなす能力がある)タスクだが、AIはまだ十分に信頼されていない。
生産関数。産出は、資本と実効労働を組み合わせて生み出される。
全要素生産性は、観測されたGDP、資本、実効労働から基準年に一度だけ較正し、その後は一定に保つ。成長はすべて、モデルが明示的に持つ経路から生じる。つまり、AI/ロボットの増加、AI/ロボットの性能向上、自動化フロンティアの拡大、そして資本蓄積である。TFPは成長の生成に何の役割も果たさない。地域別の内訳では、各地域がそれぞれ2025年のGDPに合わせて較正された固有の固定値Aを持つ。つまり、国ごとの根強い生産性の差(制度、インフラ、人的資本)は基準年には織り込まれるが、その後は変化しない。AIの普及はおそらく時間とともにこの差を縮めるだろうから、これは限界の一つである。
外生的なユーザー入力#
| AI (AI入力タブ) | ロボット (ロボット入力タブ) | |
|---|---|---|
| 数量 | 配備されたAIコピー数 一般公開向け配備のH100e × H100eあたりのAIコピー数 |
配備されたロボット台数 |
| 効率 | 1コピーあたりの人間換算 | 1台あたりの人間換算 |
| 能力フロンティア | 2024年時点で自動化されていない認知タスクのうち、AIがこなせる割合(%) | 2024年時点で自動化されていない身体タスクのうち、ロボットがこなせる割合(%) |
数量 × 効率=各技術による実効労働の供給。能力フロンティアは機械が遂行できるタスクの上限を定める。そのうえで、相対的なコストに基づいて実際にどれだけ自動化が起こるかをモデルが決める。
自動化:定義。#
t年のタスク全体。t年において経済的に意味のあるタスクの集合。2024年より前に自動化された作業(工場の自動化、CNC、2024年以前のソフトウェア)は数えない — それらは資本Kに組み込まれている。
自動化可能 f(t) ∈ [0, 1]。外生的な能力フロンティア。t年のタスク全体のうち、AI/ロボットが遂行できる(能力)と同時に、遂行を許されている(政策)割合。この割合の範囲内では、AI 1単位(H100e換算の計算資源で測る)は平均してe(t)人間換算労働時間と交換可能なものとして扱う — 実際のタスクごとの効率は大きくばらつくので、これは単純化のための仮定である。
自動化不可能 1 − f(t)。その補集合。AI/ロボットがまったくこなせない、あるいはこなすことを許されていないタスクである。(AIが意味のある効率で少しでもこなせるなら、それは自動化可能な区分に入るはずだ。)
自動化済み a(t) ∈ [0, f(t)]。内生。自動化可能なタスクの労働(人間換算単位)のうち、均衡においてAI/ロボットが実際に供給する割合。残りは、AI/ロボットと並んで働く人間が供給する。モデルは、自動化可能な区分と自動化不可能な区分の両方で限界生産物が等しくなるまで人間を配分することで、これを決める — 人間はどちら側で働くかを気にしないので、どちらでも同じになるまで散らばる。AI/ロボットが希少なうちは、その希少性によってAIのレンタル価格が押し上げられ、自動化可能なタスクの賃金も十分に高くなるので、人間もそこで働いて利益を上げながらAIより安く「引き受ける」ことができる → a(t) < f(t)。AIの規模が拡大してレンタル価格が下がると、やがて自動化側に人間がまったくいなくても、そのレンタル価格は自動化不可能なタスクの賃金を下回るようになる。人間は自動化可能なタスクから完全に撤退し、a(t) = f(t)となる。
a(t) < f(t)という差がある状態は、「AIはこのタスクをこなせるが、AIが希少なので人間がまだAIより安く引き受けられる」という局面である。a(t) = f(t)は、「AIがあまりに豊富で、これらのタスクから人間を完全に締め出した」という局面である。
タスク間の代替の弾力性(σc, σp)。# 自動化可能なタスクと自動化不可能なタスクは、どれほど補完的なのか。自動化されていないタスクで不足する労働を、自動化されたタスクでの追加の労働でどこまで埋め合わせられるのか。このパラメータは、自動化されていないタスクがボトルネックとなる強さを決める。
具体的にはこう考えるとわかりやすい。自動化されていない労働を1時間失ったとき、産出を一定に保つには自動化された労働を何時間追加する必要があるか。その答えは、σと現在の自動化水準の両方に依存する。解析的には、技術的限界代替率(MRTS)はMRTS = (1−f)/f · (Lauto/Lnon)1/σとなる。代表的な比率(自動化20%で≈0.25、50%で≈1、90%で≈10、99%で≈100、99.9%で≈1000)を代入すると次のようになる。
| 自動化水準 | σ = 0.3 | σ = 0.5 | σ = 0.8 | σ = 1.0 | σ = 2.0 | σ = 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20%(Lauto/Lnon ≈ 0.25) | 0.04 | 0.25 | 0.71 | 1.0 | 2.0 | 3.5 |
| 50%(均衡) | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
| 90%(Lauto/Lnon ≈ 10) | 239 | 11.1 | 2.0 | 1.1 | 0.35 | 0.14 |
| 99%(Lauto/Lnon ≈ 100) | 4.7×104 | 101 | 3.2 | 1.0 | 0.10 | 0.02 |
| 99.9%(Lauto/Lnon ≈ 1000) | 1.0×107 | 1001 | 5.6 | 1.0 | 0.03 | 0.002 |
自動化されていない労働1時間の損失を埋め合わせるのに必要な、自動化された労働の時間数。50%の行がどのσでも1.0になるのは、両区分が均衡している(タスクのウェイトも労働量も同じ)ためである — σが増幅すべき限界生産物の非対称性がない。50%を超えると自動化された労働が豊富になるので、その限界的な価値は低い。自動化されていない1時間を置き換えるには自動化された労働が何時間も必要になり、σが低いとそれが増幅される。50%を下回るとその逆になる。自動化された労働のほうが希少で限界的な価値が高い区分になるので、1時間に満たない自動化労働で足り、σが低いとその効果が増幅される。σ = 1(コブ=ダグラス)では、MRTSは(1−f)/fに労働比率を掛けたものに帰着する。σ → ∞(完全代替)では労働比率の項が消え、MRTSは(1−f)/fに近づく。私たちの既定値では、この局面に達することはない。
既定値:σc = σp = 0.8(中程度の補完性)。注:自動化可能な区分の中では、人間とAIは常に完全代替(加法的)である。σが左右するのは、自動化可能な区分と自動化不可能な区分がどれほど互いを必要とするかだけである。
パラメータパネル(右側)の「生産関数」で設定する。
| α | 0.43 | 資本分配率。基準年において産出に占める資本の取り分。米国0.43、中国0.50、世界0.40。地域の切り替えに自動で連動する。 |
| σY | 1.1 | 資本と労働の代替の弾力性。生産関数の最上位で、資本がどれだけ容易に労働を代替するか。1.0=コブ=ダグラス、>1=粗代替、<1=補完財。過去の経済についての実証推定値は1を下回ることを示している。Gechert et al. (2022) は3,186件の推定値のメタ分析で、出版バイアスを補正するとσ ≈ 0.3になるとし、Oberfield & Raval (2021) は米国の製造業について0.5–0.7と推定している。Karabarbounis & Neiman (2014) の推定値は~1.25だった。私たちの既定値はσ = 1.1で、コブ=ダグラスをわずかに上回り、過去の推定値よりも高い。私たちのシナリオでは、資本ストックに占めるAI資本(計算資源、ロボット)の比重が高まっていくが、これは過去の推定値の背後にあった建物・構造物や設備よりも直接的に認知労働や身体労働を代替するからである。これは新しい局面についての判断であって、実証的な知見ではない。過去のエビデンスを重視するユーザーはσ ≤ 1に設定できる。 |
| σL | 0.6 | 認知労働と身体労働の代替の弾力性。実効労働の集計関数Leff = CES(Lcog, Lphys; θ, σL)の中で、認知労働と身体労働がどれだけ代替可能か。1.0=コブ=ダグラス。直接の推定値はまれで、最も近い代理指標である熟練/非熟練労働の文献の値はおおむね>1である。Katz & Murphy (1992) はσ ≈ 1.4、Card & Lemieux (2001) はσ ≈ 2.0–2.5、Ciccone & Peri (2005) はσ ≈ 1.5。しかし、これらの代理指標が測っているのは人間の労働者の技能水準間の代替であって、認知的な仕事と身体的な仕事の成果そのものの間の代替ではない。Kording & Marinescu (2025, Brookings) は、部門を横断する「身体 vs 知能」の水準でσ < 1を用いて飽和の動学を生み出している。私たちの既定値は0.6である。経済全体で見れば、考えることと実行することは補完的である — 計画はそれを実行する手がなければほとんど価値がなく、その逆もまた然りである — ので、認知的なAI労働が豊富にあるだけでは、希少な身体的能力を代替できない。 |
| θ | 0.68 | 認知タスクのウェイト。労働タスクのうち、身体的ではなく認知的なものの割合。地域別の既定値:米国0.68(サービス中心の経済)、中国0.50(製造業中心で、認知と身体が均衡した構成)、世界0.60(GDP加重平均)。地域の切り替えに自動で連動する。 |
| σc | 0.80 | タスク間の代替の弾力性(認知)。自動化可能な認知タスクと自動化不可能な認知タスクがどれほど補完的か。<1なら、自動化不可能なタスクが自動化可能なタスクのボトルネックになる。自動化可能な区分の中では、このパラメータにかかわらず、人間とAIは常に完全代替である。 |
| σp | 0.80 | タスク間の代替の弾力性(身体)。σcと同じ論理。自動化不可能な身体タスクが、ロボットで自動化されたタスクの価値をどれだけ制約するか。 |
| sbase | 0.19 | 基準貯蓄率。基準金利のもとでの総貯蓄/GDP。地域別の既定値:米国0.19、中国0.428、世界0.262。金利に内生的に反応する:s(r) = sbase × ((1+r)/(1+rbase))η(η = 0.8)。 |
| LFPtarget | 0.62 | 労働参加率(LFP)の目標値。基準年のLFP。LFPのロジスティック反応(式12)のアンカーとして使う。地域別の既定値:米国0.62、中国0.648、世界0.686。地域の切り替えに自動で連動する。 |
| βw | 0.4 | LFPの賃金感応度。賃金変化の対数ポイントあたりのロジスティック上のシフト:βw × ln(w̄/w̄0)。賃金が高いほど → LFPも高い。プランAでは0.4を使う(市民配当と規制体制が賃金→参加の結びつきを和らげる)。デフォルト世界では1.5を使う(緩衝材がなく、労働供給がより強く賃金に連動する)。 |
| βu | 2.5 | LFPの市民配当感応度。基準賃金に対する市民配当の対数ポイントあたりのロジスティック上のシフト:−βu × ln(1 + CD/w̄0)。配当が高いほど → LFPは低くなるが、極端な$水準では限界的な効果が逓減する(労働供給研究で使われる&log;弾力性の慣行や、βwの賃金項と整合させている)。CD=基準賃金のときシフトは−0.69×βuだが、CD=基準賃金の100×でも−4.6×βuにとどまる。この自己飽和的な振る舞いは、非常に手厚い配当のもとでも働きたいという内在的な欲求は残るという直観に合っている。 |
資本蓄積。# 資本は次の運動法則に従って推移する。
内生的な貯蓄(既定で有効。無効にすれば一定の率になる)では、投資率は粗収益(1+r)に対する弾力性一定の反応を通じて金利に反応する。これはBoskin (1978)が貯蓄の弾力性に関する実証研究で用いた対数線形の定式化に従っている。
Boskin (1978) は戦後の米国データから0.2–0.4という実証的な貯蓄の弾力性を推定したが、これらの推定値は、消費の大半が必需品で占められ、貯蓄が生存に必要な支出に制約される経済から得られたものである。私たちのシナリオは2つの点でその局面から離れており、いずれもより高い弾力性を示唆する。
私たちがη = 0.8を選んだのは、内生的な貯蓄がrとともに意味のある程度まで上昇し、極限ではそうした局面を近似できるようにしつつ、離陸期の中程度のrの値で100%の貯蓄上限に張り付きすぎないようにするためである。これは判断によるもので、直接の実証的な知見ではない。
数値で見ると、sbase = 19%、rbase ≈ 14%のとき、収益率が基準の10×(r ≈ 140%)に達すると貯蓄率は~35%に上がり、r ≈ 500%では~72%に達する。100%の上限が効いてくるのはr ≈ 810%あたりである。切り替えを無効にすると、投資はsbaseで一定のままとなる。
生産関数と成長の動学には、意図的な単純化がいくつかある。既知の限界は次のとおり。
労働と賃金
実質と名目/成長の構成
貯蓄、資本市場、異時点間の動学
中心となる問い:AIチップとロボットの生産にはどれだけのコストがかかるのか。
生産コストは、掛け算で効く2つの経路を通じて低下する。
ライトの法則は1単位あたりの製造コストを引き下げる(習熟効果と規模の経済)。Jonesの経路は品質調整済みの性能1単位あたりの設計コストを引き下げる(研究開発(R&D)によって、生産量が一定でも1単位ごとの性能が高まる)。どちらの指数も2025年に1.0から始まって時間とともに低下し、掛け算でコストを押し下げる。
動機。AIチップには、別々に捉えたい2つの動態がある。
同じ2経路の分解はロボットにも当てはまる(Wright=物理的な1台あたりのコスト、Jones=1台あたりの性能)。
ライトの法則(製造の習熟)。# 累積生産量が倍増するたびに、製造コストは一定の割合で低下する(Wright 1936)。経済学で最も頑健な経験的規則性の一つであり、半導体、太陽光パネル、電池をはじめ多くの技術で成り立ってきた。
| Qcum | 累積生産量(これまでに生産された総数) |
| b | 学習率。Qcumが倍増するたびに、コストは(1 − 2−b)だけ低下する。AIチップとロボットの既定値は、後述の「ライトの法則とJonesのパラメータ:既定値と較正」の節で定めている。 |
Jones (1995) 型の設計改良。# これは、AIが自らのコスト低下にフィードバックする仕組みとして、このモデルの要となるメカニズムである。
| rbase | 現在の設計改良のペース。AIハードウェア:年10%(計算資源補遺§2.2の、統制されたプランAでの設計コスト低下)。ロボット:年5%。 |
| λ(ラムダ) | 足の踏み合い(stepping-on-toes)。研究者を10×にすると、進歩は10λ倍速くなる。λ=0.2なら、研究者10× → わずか1.6×の加速にとどまる。追加の研究者の大半は重複する—同じ問題に取り組み、同じ発見を別々に成し遂げてしまうのだ。 |
| φ(ファイ) | アイデアの枯渇(fishing out)。累積の進歩が大きくなるにつれ、改良のペースにはD1−φが掛かる。コストが100×分の1に下がった後では、φ=0.90ならペースは当初の63%(中程度の減速)、φ=0.95なら79%(緩やかな減速)になる。 |
| λ/(1−φ) | 鍵となる比率で、半導体では≈ 5。Bloom et al. (2020)によれば、半導体研究者が43年間で18×に増えたことで、ムーアの法則の一定のペースが維持された。研究者数が1桁増えるごとに、累積の進歩が約5桁得られたことになる。 |
| Ldesign | 研究開発の労働力=Leff × 配分率(%)。AIがLeffを拡大するにつれ、設計の研究開発に回る分も増える → フィードバックループが生じる(ただしλとφを通じて収穫逓減が強く効く)。プランAシナリオのプリセットでは、外生的な研究開発の推移は研究開発を強く絞り込むガバナンスを反映しているため、Leffのうち研究開発に配分される割合は2032年以降に大きく縮小する。デフォルト世界のプリセットでは、この割合は上昇し、2030年以降は高い水準で横ばいになる。 |
フィードバックループ:AIの配備が増える → Leffが増える → 設計の研究開発に使える実効労働が増える(Ldesign = Leff × fracR&D) → Jonesの式により設計改良が加速する → コストが下がる → AIの配備が安くなる。これはこのモデルで唯一の半内生的な経路である—ただしλ=0.2のもとでは、このフィードバックには強い収穫逓減が働く(研究開発の人員を10×にしても、進歩は1.6×しか速くならない)。研究開発への配分率(fracR&D)は、コスト入力タブで外生的な時系列として設定する。
パラメータ・パネルの“コスト側パラメータ”、またはコスト入力タブで設定する。
ライトの法則
| bAI | 0.25 | AIチップの学習率。計算資源補遺§2.2の投資逆算モデル(impliedInvestmentModel.ts、Wright b = 0.25 ≈ 累積生産量の倍増ごとに16%のコスト減)に合わせて較正しており、エクスプローラーの生産コストの推移が補遺の$/H100e を再現するようにしている。 |
| brobot | 0.20 | ロボットの学習率。ヒューマノイドロボットは経験曲線のまだ初期段階にあり—1970年代の半導体の位置に相当する—AIチップより高い値としている。これまでの累積生産量がごくわずかなため、不確実性が大きい。 |
Jones型の設計改良
| rbase,AI | 0.10 | AIハードウェア設計の基準ペース。年10%=研究開発を絞り込む体制のもとでの、計算資源補遺の統制されたプランAでの設計コスト低下(§2.2 impliedInvestmentModel.ts JONES_CTRL)。Jonesの推移の出発点を定めるアンカーとなる。 |
| rbase,robot | 0.05 | ロボット設計の基準ペース。年5%。現在のロボット設計の改良ペースの大まかな見積もりである—産業用ロボットは歴史的に年2–3%程度改良されてきたが、ヒューマノイドロボットはもっと速く改良されているかもしれない。 |
| λAI | 0.20 | AIの足の踏み合い。Sequeira & Neves (2020)より:国際比較の推定では、多くの分野でλ ≈ 0.2となっている。これは研究者10× → 進歩が1.6×速くなることを意味する。Bloom et al. (2020)のデータとも整合的で、半導体研究者が18×に増えてもムーアの法則は加速しなかった。 |
| λrobot | 0.20 | ロボットの足の踏み合い。AIと同じ値—区別する強い理由はない。ロボット工学に固有の実証的な証拠はAIより乏しい。 |
| φAI | 0.90 | AIのアイデア枯渇。中程度のアイデアの枯渇。λ=0.2のとき、λ/(1−φ) = 0.2/0.1 = 2.0となり、歴史的な定常状態の比率である約5を下回る。 |
| φrobot | 0.933 | ロボットのアイデア枯渇。λ=0.2のとき、λ/(1−φ) = 0.2/0.067 ≈ 3.0 — 経済全体の全要素生産性(TFP)や農業(Bloom et al. 2020による農業の推定値は約3)をやや上回るが、半導体(約5)は下回る。 |
λ/(1−φ)の考え方
この比率は、定常状態における“研究者数1桁の増加あたり、進歩が何桁得られるか”を表す。Bloom et al. (2020)は半導体について約5という値を得た。研究者数が10×増えるたびに、同じ期間で約100,000×の累積の進歩(5桁)が維持されたということだ。私たちの将来を見据えたパラメータではAIが2.0となる。最先端の半導体が物理的限界に近づくにつれ、歴史的なペースは鈍るという見通しを反映したものだ。ロボットには3.0を用いる。これは、経済全体のTFPや農業(Bloom et al.は農業で約3、米国全体のTFPで2–4と報告)と半導体(約5)の中間点として選んだ値である。ロボット工学について、Bloomらの手法による直接の推定値は存在しない。
マークアップ。# 限界費用に上乗せされる、時間とともに変化する外生的な推移である。観察される市場構造(たとえばAIチップ製造におけるTSMCの支配的地位)を参考にしているが、ユーザーが指定するものであり、内生的にはモデル化していない。総価格 = MC × μmanufacturing × μdesign。(コスト入力タブで設定する。)
余剰。# AI・ロボットが生み出すもの(成長モデルから得られる限界生産物)と、それにかかるコスト(生産コスト+マークアップ)との差が余剰である。余剰は3者に分かれる。
キャップ・アンド・トレード。# プランAシナリオにはキャップ・アンド・トレード制度が含まれる。各国政府は、過度に不安定化をもたらす生産水準を抑えるため、規制対象財(AIチップやロボットを含む)を生産するための許可証を一定数だけ発行する。現在の現状維持の経済と比べると、このキャップは非常に高く設定されており、初期の数年間はロボットが6か月ごとに倍増し、AIチップが年5×で増えることを許容する。ただし、プランAシナリオでは別の理由でスケーリングが一時停止される2035年以降、伸びは頭打ちになる。新しいAIチップやロボットには1単位ごとに許可証が必要で、モデルは許可証の価格を、その単位の将来にわたる生涯余剰を割り引いた額の一定割合として決める。具体的には、モデル自身が予測する1単位あたりの余剰(限界価値から市場価格を引いたもの。後の年に、より安く数も多い単位が出回るにつれて目減りする)を、その単位の耐用期間(チップは3年、ロボットは5年)にわたって合計し、モデル内生の金利r = αY/Kで割り引く。この割合は“オークション効率”η(t)であり、許可証の発行年の値で評価する。既定では全期間を通じて0.80で一定である — よく設計されたオークションは、各単位の余剰の大部分を回収できるが、すべてではない(感度分析のために、2032年と2040年のアンカーをコスト入力でそれぞれ編集でき、その間は線形補間される)。コストモデルは世界全体の水準で1回だけ計算する — チップとロボットのサプライチェーンは単一の世界市場だからである — そして得られた世界全体の許可証収入を、条約上の配分に従って各国政府で分け合う(米国35%、中国20%、その他地域45%)。各地域は自らの取り分から国内の市民配当を支払う(既定の割合は2032年に25% → 2035年に75% → 2040年に60%で、地域のAI+ロボットの許可証収入全体に適用する)。さらに米国と中国は、それぞれの取り分のうち対外援助分(同じアンカーで既定10% → 10% → 30%)を、その他地域の配当原資に拠出する。残りは各国政府が保持する。キャップ・アンド・トレードを有効にすると、成長モデルで指定したAI・ロボットの数量は、キャップ・アンド・トレード規制で許可された数量として自動的に扱われる。
私たちは探索的なエネルギーモデルを追加した。このモデルは、(i) 一次エネルギーの総需要、(ii) AI計算資源とロボットのボトムアップのエネルギー消費、(iii) 気候外部性(排熱、CO2排出)、(iv) 発電源の種類ごとの素朴なエネルギーコストのモデル化(設備投資額(CapEx)、運転費(OpCost)、均等化発電原価(LCOE))と、どのエネルギー源が時間とともに建設されるかを決める内生的な関数、を備えている。また、任意で炭素クレジットのオークションも実装しており、指定した年に、各発電源の排出を相殺するコストがその発電源のコストに上乗せされる。コストモデルと同様、成長モデルの要素価格には手を加えず、中核モデルの一部ではない。
一次エネルギーの総量(トップダウン、GDPに連動)#
2025年の世界のエネルギー消費量は約19.0 TW-yrsだった。プランAシナリオでは、2040年までに世界総生産(GWP)が累積で約270×に成長する(私たちのモデルの既定の仮定による)。経済のエネルギー原単位(GDPとエネルギー消費量の比)が一定のままなら、エネルギー消費量も270×に増えることになる — しかし歴史的には、1920年以降エネルギー原単位の低下が観察されてきた。
私たちは、このエネルギーのデカップリングが今後も続くと予想している。成長の推進力(AI、ロボット、それに伴う資本)はいずれも、経済的産出1単位あたりのエネルギー効率が向上するはずだからだ(とくにAIハードウェアには、電力効率が向上する強いトレンドがある)。私たちのエネルギーモデルでは、過去数十年のエネルギー・デカップリングのトレンドが続き、エネルギー消費量は経済成長のおよそ40%のペースで伸びると仮定する(このエネルギー成長率/GDP成長率をエネルギーのGDP弾力性と呼び、ε = 0.4とする)。この値についての不確実性は非常に大きく、20%から70%までの値はありうると考えている(80%信用区間、この経済成長の軌道を前提とした場合)。
エネルギーのGDP弾力性が40%なら、プランAの期間中に地球上のエネルギー消費量は約9×に増え、一次エネルギーの総量は2040年までに180 TW-yrsに達する(20%のケースでは60 TW-yrs、70%のケースでは960 TW-yrsになる)。
| E2025 | 19 TW-yrs(IEAによる2025年の一次エネルギー) |
| ε | 0.40(既定値。80%信用区間 0.2–0.7) |
AI計算資源とロボットのエネルギー(ボトムアップ)#
AI計算資源とロボットについては、それぞれの電力効率を別にモデル化し、成長モデルのストックと組み合わせて総消費電力を求める。AI計算資源は2025年の効率でH100換算1台あたり約1,000 Wを消費し、人間換算のロボット1台は約4,000 Wを消費すると仮定する。そのうえで、どちらの1台あたりの値も、コストモデルと同じ研究開発の配分に駆動されるJones型のペースで時間とともに改善すると仮定する — したがって、AIが推進するチップのコストの進歩と、AIが推進するチップの電力効率の進歩は連動する。
プランAシナリオでは、これによりAI計算資源のエネルギーは2025年の約10 GW-yrsから2040年までに約26 TW-yrsへと増え、ロボットのエネルギーは約33 TW-yrsとなる — つまり2040年までに、AIとロボットを合わせてエネルギー総量の約33%を占めるようになる。現在は1%未満である。残りは“その他”(産業、運輸、建物、住宅)である。
1台あたり電力のアンカー(2025年)
| WnewAI,2025 | H100換算1台あたり1,000 W(サーバーボード全体) |
| Wnewrobot,2025 | 人間換算ロボット1台あたり4,000 W |
Jones型の設計改良(原単位ごと)
| rbase | λ | φ | |
|---|---|---|---|
| AI | 0.26 | 0.20 | 0.85 |
| ロボット | 0.05 | 0.60 | 0.95 |
減価償却率δAI = 0.30とδrobot = 0.10は、コストモデルと共通である。
気候外部性#
エネルギー源によっては、この規模拡大は地球の地表温度に影響を及ぼす。考慮すべき点は別々に2つある。(1) 地球上の排熱の純増と、(2) 排出 — とくにCO2 — が放射強制力を通じて気温上昇をもたらすことである。
排熱。太陽光パネルは、いずれにせよ太陽から地球に届いていたエネルギーを変換するものなので、地球の正味のエネルギー収支を変えるのは、惑星のアルベドを有意に変える場合に限られる。一方、原子力発電や化石燃料による発電は、それまで地殻に閉じ込められていたエネルギーを放出するため、排熱を直接増やす。とはいえ、プランAで2040年までに到達しうる水準の上限寄りであっても、排熱そのものが大きな検討事項になることはない。概算を示そう。化石燃料と原子力による50 TWの排熱を地球の表面全体に広げると、追加の強制力はおよそ0.1 W/m2であり、蓄積したCO2による約3 W/m2と比べれば小さい。そこで、熱とアルベドの外部性はモデルから除外している。
炭素排出。このエネルギーの規模拡大を化石燃料だけでまかなうとすれば、大規模な緩和策(たとえば直接空気回収)がない限り、炭素排出は2040年までに深刻な問題となり、平衡地表温度は現在の産業革命前比+1.8°Cから、およそ+3.0°Cまで上昇する。
したがって私たちは、CO2排出の緩和政策が世界的に合意されるべきだと考えている。直接空気回収(DAC)は、とくに2030年代にAIとロボットの労働の助けを得れば、手頃な費用で緩和を実現する道となる — 大気からCO2を分離する熱力学的な下限は1トンあたり約0.034 MWhであり、現在の工学的システムはその約15×以内に迫っている(Climeworks Mammoth、~$600/tCO2)。私たちは、DACのコストが2040年までに$30/tCO2になると仮定する。
モデルが扱える炭素政策は次のとおりである。
キャップ・アンド・トレード制度は、発電源ごとのライフサイクル排出量(× CO2価格)を各発電源の限界費用に上乗せすることで、エネルギーミックスに織り込まれる。既定では、モデルは2035年にキャップ・アンド・トレード制度を施行し、クレジットはDACのコスト曲線で価格づけされる。デフォルト世界シナリオでは、政策は拘束力を持たないと仮定し、炭素価格は課されない。
発電源ごとのライフサイクル排出量(gCO2eq / kWh、IPCC AR6 WGIII Annex IIIの中央値)
| 化石燃料 | 660(燃焼+上流の燃料サイクル) |
| 原子力 | 12(濃縮+コンクリート+廃炉) |
| 水力 | 24(ダムのコンクリート・鉄鋼+貯水池からのCH4) |
| 太陽光 | 48(パネル+電池の製造。CapExのJones型改良で低下) |
| 風力 | 11(タービン+タワー。CapExのJones型改良で低下) |
| その他 | 230(地熱+バイオ燃料の混合。CapExのJones型改良で低下) |
DACコストの推移
| 2025 | ~$600 / tCO2(Climeworks Mammothの運転コスト) |
| 2040 | $30 / tCO2(シンギュラリティ期の下限。熱力学的最小値 0.034 MWh/tCO2) |
キャップ・アンド・トレードの施行年:2035(プランA)。デフォルト世界では施行しない。
エネルギーコストのモデル#
各発電源について、CapEx($/W-delivered)とOpCost($/MWh)のコストをモデル化している。いずれも現在の水準から素朴に見積もり、将来へ延長したものだ。均等化発電原価は標準的な式で求め、capexとopexの両方を実質WACC 7%(r−gのリスクプレミアムと解釈する)で償却する。
単一のLCOEではなくCapExとOpCostを別々に入力するのは、両者の推移が異なるからだ。2025年のアンカーからは、ストック加重平均で約$63/MWhが得られ、これは世界のエネルギー支出総額を消費量(TWh)で割った値と一致する。
WACC = 0.07(実質リスクプレミアム r−g)。114.16 = 1000 / 8760 は、$/W-delivered·yearを$/MWhに換算する係数。Dcap、Dopは発電源ごとのJones型の設計指数である。
発電所の物理的な寿命(年)
| 化石燃料 | 原子力 | 水力 | 太陽光 | 風力 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 35 | 55 | 90 | 28 | 22 | 28 |
CapExの2025年アンカー($/W-delivered)+Jonesパラメータ(rbase、λ、φ)
| アンカー | rbase | λ | φ | |
|---|---|---|---|---|
| 化石燃料 | 1.5 | 0.02 | 0.10 | 0.85 |
| 原子力 | 5.0 | 0.05 | 0.20 | 0.80 |
| 水力 | 4.0 | 0.01 | 0.05 | 0.20 |
| 太陽光 | 5.0 | 0.20 | 0.05 | 0.65 |
| 風力 | 3.5 | 0.10 | 0.10 | 0.65 |
| その他 | 4.0 | 0.04 | 0.05 | 0.95 |
OpCostの2025年アンカー($/MWh)+Jonesパラメータ(rbase、λ、φ)
| アンカー | rbase | λ | φ | |
|---|---|---|---|---|
| 化石燃料 | 50 | 0.05 | 0.10 | 0.85 |
| 原子力 | 50 | 0.10 | 0.20 | 0.80 |
| 水力 | 20 | 0.02 | 0.05 | 0.20 |
| 太陽光 | 5 | 0.05 | 0.10 | 0.65 |
| 風力 | 15 | 0.05 | 0.10 | 0.65 |
| その他 | 25 | 0.05 | 0.20 | 0.85 |
内生的なエネルギーミックス#
毎年、新規の設備容量は、LCOEに対するソフトマックスによって各発電源に配分される。安い発電源が新規建設の大半を得るが、すべてではない(最も安い発電源がどれほど強く支配するかは、温度パラメータが決める)。各年の市場価格は、残存する発電設備全体のLCOEのストック加重平均である。
2035年にキャップ・アンド・トレード制度を導入するプランAでは、これによりかなり急激な移行が生じる。2032年までに新規建設は太陽光と風力が大半を占めるが、稼働中のミックスはまだ大部分が既存の化石燃料である。その化石燃料も、私たちの素朴なコストモデルでは、規模を拡大する太陽光・風力・原子力にすでに競り負けつつある。そして2035年に炭素クレジットが発動すると、DACによる回収義務のために化石燃料の限界費用は約$50から約$116/MWhへと跳ね上がる。一方、再生可能エネルギーは約$30/MWhであり、これによって化石燃料はわずか1年のうちにほぼすべて退役する。2040年までに、ミックスはほぼ100%が太陽光・風力・原子力となる。
エネルギー投資の総額は、2032–2034年に世界総生産の6–8%でピークを迎え(需要の伸びと、化石燃料を置き換える建設が同時に起こるため)、その後、CapExのJones型改良によって太陽光と風力のコストが供給1Wあたり$1を下回るにつれて減少する。
新規建設の配分(LCOEに対するソフトマックス)
ストック加重の市場価格
発電源ごとの退役率
MCi = OpCosti + exti は限界運転費である(埋没したcapexは含まない)。発電所は、その時点の市場価格で自らのopexをまかなえなくなると退役する。
配分・退役のパラメータ
| σ(ソフトマックスの温度) | 10 $/MWh。小さいほど勝者総取りになり、大きいほど新規建設のミックスが多様になる。 |
| τpatience | 1年。小さいほど、採算の合わない発電所の退役が速くなる。 |
2025年時点のエネルギーミックス(TW)
| 化石燃料 | 原子力 | 水力 | 太陽光 | 風力 | その他 |
|---|---|---|---|---|---|
| 12.5 | 0.3 | 1.0 | 0.4 | 0.4 | 1.4 |
成長モデルとコストモデルに追加する探索的なアドオンで、シナリオにより多くの彩りを加えるものである。
AIとロボットの数量の内生化(デフォルト世界)#
この節の他の拡張機能は、中核の成長モデルには手を加えない事後的なレイヤーである。これに対してこの拡張機能は、ユーザーが入力タブで描く外生的なAIとロボットの軌道を、投資配分ルールに置き換える。AI 2040 デフォルト世界プリセットで動いているのはこの仕組みだ。
投資可能な貯蓄プール。毎年、これまで資本の原資となっていたのと同じプール s(rt) · Yt が、資本・AIハードウェア・ロボットハードウェアの3つすべての原資となる。プランAでは、プールの100%が資本に回り、AIとロボットの数量はユーザーが描いた軌道に従う。その軌道に必要な投資額は、コストモデルで事後的に表示される。デフォルト世界では、プールは素朴で近視眼的な投資収益率(ROI)に比例して K・AI・ロボットに振り分けられる。この収益率は、投入1ドルあたりの、現在のレートでの年間限界生産物として定義される。これらのシナリオでは爆発的な成長が起きるので、これはそれなりに妥当な代理指標だと考えている。技術の変化がおそらく非常に速いことを踏まえると、新たな生産物の「耐用年数」を1年より長く取ることは、むしろ長すぎるくらいかもしれない。
配分ルール。配分比率はROIに比例して決まる。φK = ROIK / ∑ROI であり、AIとロボットについても同様である。AIとロボットを合わせた配分比率 φAI + φrobot には、2024年時点で自動化されていないタスクに対する自動化フロンティアの平均 (fc + fp) / 2 を上限として課す。これは、経済がAIとロボットの生産に再投資できる量の上限の代理指標として用いている。
年内の均衡化。純粋に年初時点で配分すると、勝者総取りになってしまう。その年にたまたまROIが最も高い要素がほぼすべての投資を吸収し、首位の要素が飽和するにつれて、配分比率が年ごとに急激に入れ替わるのだ。これを平滑化し、市場均衡により近づけるため、各年の中で反復計算を行う。配分比率を選び、それが意味する投資額だけストックを進め、投資後のストックで生産関数を解き直し、ROIを再計算し、減衰をかけて配分比率を更新する。通常は5回の反復で、3つのROIの差が5%以内に収まる。
ストックの蓄積。配分比率が収束したら、ストックを次のように更新する。
特異点での打ち切り。いずれかの年で Yt+1 / Yt > 1000 となった場合、シミュレーションを停止する。これは暴走的なテイクオフに対する数値計算上の安全装置である。その段階に至れば、モデルの前提(ライトの学習、固定マークアップ、要素分配率に基づくCES構造)は妥当な適用範囲を大きく外れているからだ。
財とサービスへの分解#
このアドオンは、財とサービスの相対価格をモデル化する。それぞれに一定の認知労働・身体労働の相対的な集約度を仮定し、さらに価格に反応する消費者需要体系を組み合わせて、相対価格の推移に応じて支出を両者に振り分ける。
メインのソルバーから得られる要素価格(wc, wp, qc, qr)と Y をもとに、産出を認知・身体の集約度が異なる2つのカテゴリーに分ける。サービス(認知集約的、θS = 0.80)と財(より身体的、θG = 0.40)である。出力するのは各年の中での相対価格 PS/PG だ(純粋に年内の比較であり、モデルは絶対的な価格水準の推移を追わないため、CES集計指数は毎年1に正規化している)。対応する消費者の支出シェアは、弾力性 η = 0.5 のCES需要体系から得る。この既定値は、Comin, Lashkari & Mestieri 2021 が戦後の国際データについて複数の定式化で推定した0.2–0.5の範囲の上端にあたり、より広い構造転換の文献(Ngai & Pissarides 2007; Herrendorf, Rogerson & Valentinyi 2013)とも整合的である。
このアドオンを加えた背景には、AIが認知労働を自動化するペースがロボットによる身体労働の自動化より速ければ、集計レベルではサービスが財に比べて相対的に安くなるかもしれない、という考えがある。なお、コストのモデル化は一切行っていないので、実際の価格水準の推移はモデル化していない。事後的なアドオンなので、中核の成長モデルの出力には影響しない。
まず、いくつかの中間的な単位費用を定める。これらはシェファードの補題によって生産関数から「タダで」得られる(入れ子のCES数量集計関数には、対応する入れ子のCES価格集計関数が必ず存在する)。
基準年での一度きりの較正
ここで ν はサービスに対するCES需要ウェイトである(嗜好・選好のパラメータと考えればよい)。aS は、基準年における家計支出に占めるサービスの実証的なシェアである(たとえば米国では0.77)。PS,0, PG,0 は、式(20)から得られる正規化前の基準年の部門別価格である。この式はCESの支出シェアの式を逆に解いたもので、ν を代入し直すと、式(21)が t=0 で aS を再現する。コブ=ダグラスの特殊ケース(η=1)では、単に ν = aS に帰着する。
各年
PS, PG は、ある年におけるサービスと財の相対的な産出価格である。右辺の比は「この部門の労働が経済全体の平均に比べてどれだけ高いか・安いか」を表す。指数 1−α は産出に占める労働分配率である。コブ=ダグラス型の Y = A · Kα · L1−α では、労働費用が1%変化すると産出価格は 1−α パーセント変化する(資本費用 r は両部門に共通なので相殺される)。両方の価格は毎年、CES集計指数 Pagg = CES(PS, PG; ν, η) = 1 となるように再スケールされる。これは純粋に価値尺度財(ニューメレール)の選び方の問題であり、意味を持つのは比 PS/PG だけだ。モデルは絶対的な価格水準の推移を追わない。
S, G は各部門の実質消費量である。Y は総実質産出(S と G に配分される)である。CES需要なので、その年にサービスが相対的に安ければ、人々はサービスをより多く求める。η = 0.5 は反応が1未満であることを意味する。サービスの相対価格が1%下がっても、サービスの数量は0.5%しか増えない。つまりサービスへの支出(価格 × 数量)はむしろ減る(数量の増加以上に価格が下がったため)。η = 1(コブ=ダグラス)では、支出シェアは一定である。η > 1 では、安くなった部門ほど支出シェアが大きくなる。
η = 0.5 を用いるのは、構造転換の文献(Ngai & Pissarides 2007; Herrendorf, Rogerson & Valentinyi 2013; Comin, Lashkari & Mestieri 2021)の実証推定で、財とサービスの代替の弾力性が1を大きく下回り、典型的には0.2–0.5の範囲にあるとされているからである。
土地#
土地アドオンは、4つの土地カテゴリー(都市、農村、農業、商業)の需要をモデル化する。各カテゴリーは、それぞれ固有の初期支出シェアと弾力性を持つ。各カテゴリーには、所得弾力性 β(所得の上昇に需要がどう反応するか)、需要の価格弾力性 ηD(価格に需要がどう反応するか)、供給の価格弾力性 ηS(価格に供給がどう反応するか)がある。土地への支出が全体の消費より速く伸びるか、遅く伸びるか、同じペースかは、主に β で決まる。β > 1 ならそのカテゴリーは奢侈品であり、所得とともに支出シェアが上がる。β < 1 なら必需品であり、シェアは下がる。β = 1 なら支出は比例的に増える。カテゴリー別の既定値は、都市と農村の住宅用地がおおむね β ≈ 1.1(やや奢侈品)、農業用地は β が低く(必需品であり、所得が増えるとシェアが下がる)、商業用地はその中間である。原生地域の規制緩和オプションを使うと、設定可能な年以降に保護地が解放され、供給制約が緩む。モデルは各期に、各カテゴリーの土地市場を清算して、レンタル価格と土地利用シェアを求める。
土地を生産関数の要素ではなく事後的なアドオンとして扱っているのは、規制を通じた場合を除けば、土地がAI・ロボット生産の制約として効いてくる可能性は低いと考えているからだ。極端な成長シナリオの下でも、土地利用のフットプリントは地球上で利用可能な土地に比べれば小さい。そのため現時点では、土地を生産全体のボトルネックとしてモデル化する根拠はないと考えている。したがって、土地についてより重要で興味深いのは、消費者の側から見た土地の入手可能性と価格であり、この拡張機能ではそこにいくらかの彩りを加えようとしている。
内生的な各カテゴリー i(都市、農村、農業)について、vi を1ヘクタールあたりの地代、Mi を供給量・需要量(エーカー)、Ri をそのカテゴリーに支払われる地代総額、X を消費者の総支出とし、vi,0, Mi,0, X0 をそれらの変数の基準年の値とする。
消費者支出
X は Y の固定シェアに較正されているわけではなく、収益率に対する貯蓄の反応に応じて変動する。
需要と供給の形状(カテゴリーごと)
市場清算(基準年比の形で表す)
内生的な土地面積の合計が物理的に利用可能な土地(保護された原生地域と商業用地の下限を除いたもの)を超えてしまう場合は、内生的な土地面積(Mi)をすべて比例的に縮小し、需要曲線から価格を解き直す。こうして希少性が地代を押し上げる。
パラメータの既定値(米国)
| カテゴリー | β | ηD | ηS | 土地支出に占める初期シェア |
|---|---|---|---|---|
| 都市 | 1.1 | 1.0 | 0.5 | ~89% |
| 農村 | 1.1 | 1.0 | 0.8 | ~7% |
| 農業 | 0.1 | 0.4 | 0.6 | ~4% |
土地支出全体のシェアは、基準年で家計支出の6.8%である。原生地域は、設定可能な規制緩和年(既定は2032年)までは100%保護され、その後7年かけて protect_wilderness の下限(既定は0.8)まで段階的に引き下げられる。商業用地は外生的である。その面積は基準年の値(protect_commercial を掛けたもの。既定は1.0で、100%保護を意味する)に固定され、その地代は消費側の均衡では価格付けされない。商業用地は、モデルが清算する市場ではなく、内生的な3カテゴリーが利用できる土地を減らす固定的な留保分として機能する。
所得分配と不平等#
このアドオンでは、家計をパーセンタイル(1, 25, 50, 75, 90, 99, 99.9)に区分し、各区分が5つの所得源(賃金、資本、AI、ロボット、土地)をそれぞれ異なるシェアで所有するものとする。パーセンタイル間の所有シェアは、ユーザーが外生的に設定する(パラメータパネルの「所得分配」セクション)。既定値は現実世界の富の集中を反映している。このモジュールは所有構造の時間的な変化を内生化せず、外生的な分布を固定されたものとして扱うだけである。出力されるグラフには次のものがある。
このモジュールを使うと、AI主導の成長がもたらす分配面の帰結を見ることができる。AI・ロボットのレントが主に上位パーセンタイルに帰属し、賃金が停滞するなら、GDPは全体として増えても、再分配がなければ中位の家計はほとんど恩恵を受けないかもしれない。
各要素 j ∈ {wage, capital, AI, robot, land} について、ユーザーは7つのパーセンタイル区切り(p1, p25, p50, p75, p90, p99, p99.9)での累積所有CDFと、9つのパーセンタイル(p5, p10, p25, p50, p75, p90, p95, p99, p99.9)でのより細かい倍率曲線を指定する。CDFは所有の大まかな分布を決める。倍率曲線(例:「p95の所得は平均の3.3×、p99では8.5×」)は滑らかな補間であり、CDFの区切り点の間で階段関数状のアーティファクトを生じさせずに分布グラフを描くために使う。記法は次のとおり。sharej(p) はパーセンタイル p が所有する要素 j の割合、mj(p) はパーセンタイル p における平均に対する所得倍率、Ij(p) はパーセンタイル p の要素 j からの1人あたり所得(Itotal(p) は全要素の合計に市民配当と受け取った対外援助を加えたもの)、Wt(p) は t 年におけるパーセンタイル p の蓄積純資産である。
CDFの区切り点から求める所有シェア
パーセンタイル内の倍率
家計所得
CD(p) は1人あたりの国内の市民配当、FA(p) は1人あたりの受け取った対外援助である(援助供与地域ではゼロ)。
ここで TotalIncomej は、成長モデルが生み出す要素 j からの総所得である(例:資本なら rK、AIなら qc·AI_cog、人間なら賃金)。市民配当 CD(p) は構成上1人あたりで一律であり、パーセンタイルには依存しない。
純資産の蓄積
ジニ係数
所有CDFの既定値(米国、上位集中型)
| 要素 | p1 | p25 | p50 | p75 | p90 | p99 | p99.9 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 賃金 | 0.004 | 0.10 | 0.25 | 0.48 | 0.70 | 0.90 | 0.97 |
| 資本 | 0.0 | 0.0 | 0.02 | 0.07 | 0.27 | 0.61 | 0.80 |
| AI | 0.0 | 0.0005 | 0.003 | 0.015 | 0.05 | 0.25 | 0.50 |
| ロボット | 0.0 | 0.001 | 0.005 | 0.025 | 0.08 | 0.35 | 0.60 |
| 土地 | 0.0 | 0.0 | 0.05 | 0.20 | 0.45 | 0.80 | 0.92 |
各行は、その点までの(その点を含む)パーセンタイルが保有する所有全体の累積割合を示す。既定値から導かれる上位1%のシェアは、賃金10%、土地20%、資本39%、ロボット65%、AI 75%である。賃金が最も広く分散しており、AIとロボットが最も集中している(初期のAI・ロボットの富は、創業者、初期の従業員、集中した投資家持分に大きく帰属する)。これらは外生的なユーザー入力である。このモジュールは、要素の総額が変化していく中でこの初期分布をそのまま先へ投影するだけで、富の移動(階層間の移動)は内生化しない。
課税と市民配当#
市民配当の財源には2つのモードがある。
各地域の課税ベースは、世界全体のキャップ・アンド・トレード許可証収入のうち、その地域の条約上の配分である(米国35%/中国20%/その他地域45%)。収入は、設定可能な5つの配分シェアに分けられる。それぞれ3つのアンカー(2032年/2035年/2040年、線形補間)を持つ時系列で、米国・中国・その他地域の国内配当と、米国および中国からの対外援助拠出からなる。既定値は、国内シェア3つすべてが25% → 75% → 60%、対外援助シェア2つが10% → 10% → 30%である(中国のスケジュールは、確認が取れるまで米国と同じにしている)。対外援助の拠出は、その他地域自身の国内シェアに上乗せされる形で、その他地域の配当プールに払い込まれる。その他地域は対外援助を拠出しない。また、援助供与地域の国内分と対外援助分は、その地域の配分の中の別々の取り分である(二重計上はなく、国内分 + 対外援助分 + 留保分 = 1)。残りは政府が留保する。成人1人あたりの配当額(地域のプールをその年の16歳以上の成人人口で割ったもの)は、LFPの式(11)の βu を通じて労働供給にフィードバックする。
コストモデルのその他の出力
成長モデル・生産関数に固有の限界は、前出の「成長モデル/生産関数モデルの限界」の節で扱っている。
時間刻みと状態
モデルは16年間(2025年から2040年)を1年刻みでシミュレーションする。各年で、生産関数の求解とコストモデルの求解をそれぞれ行う。年をまたいで引き継がれる状態は、資本ストック K、AIストック、ロボットストック、ライトの法則のための累積生産量 Qcum、Jones 型の設計改良のための設計指数 D、そして(内生モードでは)投資によって積み上がったストックである。
年内の求解(solveMuOneYear)
Kt, AIcog,t, Rphys,t, Ht と、外生的な能力フロンティア fc,t, fp,t が与えられると、ソルバーは次の処理を行う。
内生的な労働供給(LFPの反復計算)
労働参加率(LFP)が賃金と市民配当に反応する場合(式9–12)、年内の求解を不動点反復で包む。H を仮定し、賃金を解き、新しい賃金からLFPを再計算し、H を更新する。これを ΔH / H < 1% となるまで繰り返す。振動を防ぐため、減衰係数は0.5とする。通常は5–8回の反復で収束する。
年をまたぐ蓄積
コストモデルとの統合
コストモデルは、単独の世界シミュレーションに対して1回だけ実行される(solveCostSideOneYear を回す runCostSide)— チップとロボットのサプライチェーンは単一の世界市場なので、地域ごとのコスト側の実行はない。各年、世界のAI・ロボットの数量、累積生産量、研究開発(R&D)の労働配分(Leff × ユーザー指定の割合)、マークアップの軌道を受け取り、限界費用(MC)、購入者価格、余剰の分解、税収を算出する。許可証価格は(キャップ・アンド・トレードが有効な場合)、その後の一括の事後処理(applyForwardPermitPricing)で設定される。発行年における η(t) × モデル自身の将来経路にわたる、前向きの生涯余剰の割引現在価値であり、割引にはモデル自身の金利 r = αY/K を用いる。各地域は世界の許可証収入のうち条約上の配分(35/20/45)を受け取り、それが翌年のLFP計算に使う市民配当額にフィードバックする(外側のループを単純に保つため、1年のラグを置く)。
基準年の較正
特異点での打ち切り
内生モードでは、1年で Y が1000×を超えて成長した場合、シミュレーションを停止する。これは暴走的なテイクオフに対する数値計算上の安全装置である。モデルがそれほどの成長を生み出す段階に至れば、根底にある前提(ライトの学習、固定マークアップ、要素分配率に基づくCES構造)は妥当な適用範囲を大きく外れている。
地域は独立に実行される
複数地域の切り替えがオンのとき、モデルは米国・中国・その他地域について、完全なシミュレーションを別々に実行する。地域間の貿易、資本移動、技術の普及はない(「限界」を参照)。各地域は独自のパラメータファイル(α、θ、貯蓄率、基準年のマクロ変数、所有の分布、税率)と、別個のコスト側の状態を持つ。
世界総生産は、連続体をなすタスク全体にわたるCES集計である。各記号は次のとおり。
生産。経済は、単位長の連続体をなすタスク から成り、それらが代替の弾力性 のCES集計関数で結合される(したがって )。各タスクは単一の要素 — 機械(AI + ロボット)か人間の労働 — が担い、タスクのうち割合 が自動化されている。タスクは対称なので、各要素の固定された労働総量の最善の使い方は、担うタスクに均等に配分することである(不均等に分けると集計値が下がる)。つまり自動化されたタスク1つあたり 、人間のタスク1つあたり となる。したがって と は単に労働総量 ÷ タスク数 であり、自由パラメータではなく、閉じた形で決まるタスクあたりの産出である:
自動化 — なぜ なのか。次に、 を固定したまま、いくつのタスクを自動化するかを選ぶ。タスクあたりの産出を代入すると、括弧の中は となり、産出を最大化する限界は次を満たす。
すなわち、限界的な自動化タスクと限界的な人間のタスクが同じ量を生産するとき、産出は最大になる — 限界において機械と人間の生産性が等しい(言い換えれば、AIのレンタル価格 = 人間の賃金)ということだ。これを解くと内点解の最適値が得られる。
これはあらゆる について最大値である。括弧の曲率と外側の指数 は一緒に符号が反転するので、臨界点は常に の山頂になる。機械が遂行できるのはフロンティア までのタスクに限られるため、実際の限界はそこで上限が課される:
機械が乏しいとき()、最適値は内点解になる。 を超えると人間のほうが限界的なタスクをうまくこなすので、余った自動化可能なタスクは人間が担い続け、 となる。機械が豊富なとき()はフロンティアが制約となり、 となる。機械は担えるすべてのタスクに ずつ積み上がり、自動化できない のタスクが のボトルネックとなる。
再配置。自動化されていない のタスクは人間が担う。上の導出は完全な再配置のケースである。職を失った人間は自由に移動し、均等に広がる(それぞれ )。再配置がまったくない場合、新たに自動化されたタスクから押し出された労働者は移動できないので、残りのタスクは元の密度 のままとなり、働く人間の労働 — そして人間の所得 — は自動化が進むにつれて減少する。機械は自動化されたタスクの所得を得る。。
自動化可能フロンティア。 は外生的なシグモイド型の入力である — 下限 から上限 へ向かう時間のロジスティック関数で、中間点は 、傾きは である:
要素の供給。機械の労働 は2030年のアンカーまで幾何級数的に増加し、その後は2032年まで 年ごとに、それ以降は 年ごとに倍増する:
ここで である。人間の労働は率 で増加する:。ただし とする。
産出指数。チャートは、現在を基準とした世界総生産 を描いている。